2013年 02月 19日
バスの中での出来事 1 |
夕方だというのに、通勤バスの窓越しに見える一番街の風景は明るい日差しに満たされていた。 私はゆっくりと走る満員バスの真ん中あたりの席に座っていた。 仕事は端境期で残業や出張者との会食もなくのんびりとした一日の終わりだった。 渋滞のなかを徐行して北上するバスの中で平和なひとときににゆったりと浸っていた。
突然、車内で激しい音がした。同時に頬がカッと熱くなった。
「何かが当たった!」と私が叫ぶと、運転手はバスを急停止して「救急病院で医者に診てもらいたいか?」と私に訊ねてきた。 出血はしていないものの痛みが激しかったので、「Yes.」と答えた。 運転手はその言葉にうなずくと、私以外の乗客にバスはこの先運休となるので降りてもらうように告げた。
一人の中年の女性が近づいてきて蝶の絵柄の入った名刺を差し出しながらこういった。 「大変な目にあわれましたね。 万一後遺症が残るようなことになれば ・ ・ ・ いえ、そうならないことを祈っていますが ・ ・ ・ あなたはバス会社を訴えることができるのです。 その場合に最低三人の目撃者が必要ですので、 その一人として、私の名刺を渡ししておきます。 万一の場合には連絡してください。 I 'm on your side. 」 すぐに二人目の人と三人目の人が近づいてきて、そっと名刺を渡してくれた。
(続きはこちら)
***************************************************************
by susumenysi
| 2013-02-19 20:00
| New York